2020年1月21日火曜日

『新世紀エヴァンゲリオン〜神の座を求め』第1話 二次創作

時に西暦3000年代

月、火星、衛生エウロパを中心とする太陽系移民を開始した人類は、各植民地でEVを活用していた。

器であるEVはシンクロ率の高い搭乗者、魂、を入れることで動き、様々な場面で運用されていた。

火星に本部を移したNASAが捉えた謎の信号を追って、赤城重工と国連直属で再編成されたネルフを主体にやぎ座への調査計画『やぎ座作戦』が月面の第35新東京市で進んでいた。

ネルフとの歴史的確執のあるヴィレは再三、抗議文書を国連、ネルフに送ったものの、計画は進み、EV0045型は100名の搭乗員とパイロット『タクミ・カガ』の手で打ち上げられ、対消滅機関を使用した亜光速航行でやぎ座に向かう。

これが人類の種『リリス』を45億年前に地球へ撒いた『神』の招きなのか、はたまた同じように『ファーストインパクト』で宇宙に誕生した知的生命体からの侵略なのか。

人類は宇宙へと旅立つ。エヴァンゲリオンの体内に抱かれて。


第1話

第1話

 時に西暦3477年。

 月面都市第34新東京市では、赤城重工開発の新型EVが外宇宙へ向け、発進する準備が着実に進行していた。

 456世代型S2機関を搭載したこのEV0045型は、人形というこれまでの概念を排除し、遠距離移動と内部での複数人が生活するという長距離移動をコンセプトに、対消滅エンジンをブースターに使用した、亜光速航行を可能とする機体である。

 2000年代に開発された決戦兵器としての役割を終え、今はEV型は国連軍のみならず、人が植民地化した月、火星、衛生エウロパなど、様々な場所で運用されていた。

 魂の器であるEVは、その登場者とのシンクロ率試験によって選別され、シンクロ率が最も高い搭乗者が選ばれる。

 今回の最新型EVは、複数の搭乗者が乗り込む実験機であり、シンクロ率がそれぞれに高い搭乗者を選別し、長期計画として進行していた。

 国連主導でもありながら、2000年代に悪名を世界に轟かせ、今では再編され、国連の直属組織であるネルフが計画には参加し、実質現場は赤城重工とネルフが動かしている状況にあった。

 これに対して地球側のヴィレから再三に渡り計画中止の要請があった。

 ネルフとヴィレの対立、抗争の歴史を知らないものはいない。今では子供の教科書でも、その歴史が語られるほど、世界史、宇宙史において、大きく刻まれる2大組織である。

 しかし今のところ水面下では争いが激化しているものの、独立組織であるヴィレが国連直属のネルフへ計画中止を通告しても、上層組織の国連が計画を断念しない限り、この外宇宙への探求は、停止することはなかった。

 そもそも今回の計画の主目的は『神の存在の証明』にあり、ヴィレ以外にも危険視する声は、人類の植民地各地から上がっていた。

 巨額の投資をしてまで、外宇宙へ出て、わざわざ『神』を探す必要があるのだろうか?

 人類の種である『リリス』。2000年代に現れた『使徒』と呼称される巨大生命体の種である『アダム』そして、これら種の暴走を封印することのできる謎の槍『ロンギヌス』。現在でも研究は続けられているが、これらがどこからやってきたのか、なぜ、生命体を誕生させられるのか。まるで研究は進んでいない。千年以上たった今の科学技術ですら、人類の種の原理を人間は解き明かせないでいた。

 種がそれぞれ地球、月に現れたのが年代測定で45億年前と推測される。つまり地球誕生のその時から種はそこにあった。

 つまり人を創りし種を宇宙にばらまいた『ファーストインパクト』を引き起こした張本人たちが宇宙のどこかに存在する。

 それを探し求めるのが本計画『やぎ座作戦』の大まかな概要であった。

 なぜやぎ座なのか?

 それは10年前、火星に本部をおいたNASAが謎の信号を捉えたからである。なんらかの知的生命体がやぎ座方面に存在するという明確な証拠である。それを証明するため、本作戦は実行されることになっていた。

 だがそれが『ファーストインパクト』を起こした『神』なのかは分からない。理論物理学界では「仮に知的生命体が生命の源であるアダムとリリス、それらを抑制するロンギヌスの槍を地球に送った、あるいは散布したとなれば、それは宇宙規模でなされている可能性があり、人類、使徒以外にも何らかの知的生命体が宇宙各地で文明を築いている可能性はある。しかしながらそれが必ずしも友好的とは限らない」という意見が大きく、火星NASA本部が捉えた信号がそうした知的生命体である可能性もある。

 それでも国連はネルフと赤城重工に今回の計画を託した。

 そして今宵、EV0045型が第35新東京市を出発する。

 全長5キロにも及ぶ巨大EV内部には100名もの調査員がLCL冷凍睡眠状態で待機している。主パイロットの「タクミ・カガ」はトラックボールシステムに手を置き、その時を待っていた。

 オペレーターがカウントダウンを開始すると、トラックボールを動かし、対消滅機関を指導する。LCL内にホログラムのメーターが展開し、次第にエネルギーが上昇する。

 外部では4つのブースターから煙と激しい炎が噴射する。

 カウントダウンが終了すると、タクミはブースターを一気に臨界点まで上昇させた。

 4キロの巨体はレールの上を一直線に加速して進むと、途中から上部へ湾曲するレールに沿って縦方向へ向かい、重力が地球程もない月面をすんなり離れると、一気に亜光速へと速度を上げる。

 一度、シンクロ率を上昇させた搭乗者にはEVの呪いともいうべき、人体成長停止効果が永久的に及ぶ。つまりタクミ・カガもEVの呪縛を受けた1人であり、亜光速による「ウラシマ効果」を受けても、どれだけ時間が経過したところで、老化しない。だからメイン搭乗者としてEV0045を任せられたのである。

 これから長い旅が始まる。有人による宇宙探索がこの夜、幕を上げたのであった。

第2話へつづく






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